結論:「気持ち」と「次にしてほしい行動」を分けて伝える
子どもが動かない時、親から見ると「言うことを聞いてくれない」と感じます。しかし、遊びを終えたくない、次に何をするか分からない、急な切り替えに気持ちが追いつかないなど、同じ「動かない」でも背景は異なります。
こども家庭庁の子育て資料でも、子どもの行動だけを見るのではなく、その理由や気持ちに目を向け、気持ちを受け止めたうえで次の行動を一緒に考える例が示されています。家庭での声かけも、気持ちを認めることと境界や次の行動を示すことを両立させると整理しやすくなります。
基本1:まず「何がイヤなのか」を見る
「帰らない」「着替えない」「片付けない」という行動を止めることだけに集中すると、同じ言葉を繰り返しやすくなります。最初に「まだ遊びたいんだね」「この服がよかったんだね」のように、見えている気持ちや希望を短く言葉にします。
基本2:「ダメ」だけで終えず、してほしい行動を具体的にする
「ちゃんとして」「ふざけないで」「早くして」は、大人には意味が通じても、子どもには次の動作が分かりにくいことがあります。広島県教育委員会の親子コミュニケーション資料でも、曖昧な表現ではなく、行動が分かる短い伝え方が紹介されています。
| 伝わりにくくなりやすい言い方 | 次の行動を見える形にする例 |
|---|---|
| ちゃんとして | 靴をはいたら、玄関で待とう |
| 走らないで | ここは歩こう |
| 早くして | まず上着を着よう |
| 散らかさないで | 赤い箱にブロックを入れよう |
否定語を一切使ってはいけない、という意味ではありません。危険を止める場面などでは短い禁止が必要なこともあります。大切なのは、止めた後に「では何をするか」が分かるようにすることです。
基本3:一度に説明しすぎず、今の一つを短く伝える
親が急いでいるほど、「着替えて、ご飯食べて、歯磨きして、カバン持って」と一度に伝えたくなります。けれど、子どもが止まっている時は、説明を増やすほど次の一歩がぼやけることがあります。
「まず靴下をはこう」→ 終わったら「次は上着」のように、今の行動を一つに絞ります。
すぐ反応がないからと何度も言葉を重ねる前に、安全な場面なら子どもが切り替える時間を少し置きます。
基本4:切り替えが難しい場面は、直前だけでなく事前に準備する
遊びを突然終える、出発直前にテレビを消す、楽しい場所から急に帰るといった切り替えは、声かけだけで解決しにくいことがあります。難しくなると分かっている場面では、事前に予定や次の動きを伝えておきます。
- 「この1回が終わったらおしまいにしよう」
- 「あとで呼ぶね」ではなく「時計の長い針が6になったら出るよ」など、家庭で分かる合図を決める
- 出発前に靴・上着・持ち物を置く場所をそろえる
- 初めての場所では、何をするかを先に簡単に話す
広島県教育委員会の資料でも、問題が起きる前に望ましい行動を説明したり練習したりする視点が紹介されています。
基本5:選べる部分だけ、選択肢にする
「行く?行かない?」と聞いて、実際には行かない選択ができないなら、子どもにとっては選択になりません。選択肢は、どちらを選ばれても大人が受け入れられる範囲にします。
基本6:切り替えられた後の行動も言葉にする
できなかった場面は記憶に残りやすい一方、できた時はそのまま次へ進みがちです。「まだ遊びたかったけど、靴をはけたね」「待てたね」のように、結果だけでなく切り替えた行動や努力を具体的に伝えます。
「褒めれば必ず動く」という方法ではありません。何ができたかを子どもと共有し、次の場面で思い出しやすくするためのフィードバックとして考えます。
うまく伝わらない時に見直すチェックリスト
- 気持ちや希望を確認せず、行動だけ止めようとしていないか
- 「ちゃんと」「早く」のように曖昧になっていないか
- 一度に複数の指示を出していないか
- 切り替えを突然求めていないか
- 選べないことまで質問形式にしていないか
- 言った直後に、さらに言葉を重ねていないか
- できた行動を具体的に伝える機会があるか
場面によって、同じ声かけを使い回さない
基本は共通でも、拒否が続くイヤイヤ期と、感情が大きく高まった癇癪の最中では、親が優先することが変わります。
| 場面 | この記事での入口 | 詳しい記事 |
|---|---|---|
| 「イヤ」で日常の切り替えが進まない | 気持ち+境界+小さな選択 | イヤイヤ期の声かけ |
| 泣く・叫ぶなど感情が大きく高まっている | まず安全、言葉を短くする | 癇癪の前・最中・後の対応 |
食事、寝る時間、画面の終了、朝支度なども、それぞれ環境や目的が異なります。今後の専用ガイドでは、場面ごとの悩み方や必要な対応が異なるテーマを深掘りします。
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Kikottoは医療診断や発達判定を行うサービスではありません。日常の声かけ候補を考える用途で利用してください。
よくある質問
何度言っても聞かない時は、もっと強く言った方がよいですか?
強さを上げる前に、次にしてほしい行動が具体的か、一度に言いすぎていないか、突然の切り替えになっていないかを見直せます。危険を止める場面では安全確保を優先します。
「ダメ」と言ってはいけないのですか?
一切禁止するという意味ではありません。危険や明確な境界を伝える言葉が必要な時もあります。「ダメ」で止めた後、できる範囲で代わりにしてほしい行動も短く示すと次へつなげやすくなります。
褒めれば必ず言うことを聞きますか?
必ずという方法ではありません。できた行動や努力を具体的に言葉にすることで、親子で「何ができたか」を共有する方法の一つです。
年齢によって声かけは変えるべきですか?
理解できる言葉の長さや選べる範囲は変わります。年齢だけで一律に決めず、その子が理解しやすい具体性や情報量に調整します。
参考にした公的情報
- こども家庭庁:しつけ?体罰?これってどっち??
- 厚生労働省:保育所保育指針
- 広島県教育委員会:親子コミュニケーションに関する情報発信
- 広島県教育委員会:いきなりどなって言うことを聞かせるより…
- 広島県教育委員会:困る場面への備えに関する資料
参照日:2026年8月21日。